セルトリア学園
姫巫女
スッーと自然と目が覚める。



窓から入ってくる微かな光から
察するにまだまだ日が出たばかりのようだ。



すっと息を吸うと
まだまだ冷たい空気が体を冷やす。
ベットの毛布が二度寝を誘うがぐっと我慢する。



古い記憶を呼び起こした夢の中には
戻りたくなくてぐっと体を起こすと背伸びをする。



毛布から体を出すと
吸い込んだよりもっとヒヤリとした
寒さが体を襲う。



地面に足を下ろすと
冷たい白岩石に体温を取られる。



近くにあったブランケットを体に巻き、
靴を履かないまま
ぺたぺたと音を立てて部屋の扉へ向かう。



部屋を出るとシーンとした空気が
あたりを包み音を立てるのを
咎めるように空気がのしかかる。


それを無視するように
左右に続く廊下を通り越し
目の前に伸びるテラスへ向かう。



テラスの前にある白い布をめくると
街並みが下に見える。
3月後半といえどまだまだ風は寒かった。



下を見ると少しづつ人が起き始め活動をしていた。



ここは古くからある
神殿を中心として発展した国だ。




帝国よりは小規模な国だが
世界のどの国もこの国のことは無視できないほど
この国は神との繋がりを強く持っている。



神殿はこの街を見下ろすように、
山の中腹辺りに建っている。



その宮殿の裏の山は神聖な山。



頂点近くには大きな綺麗な池があり
そこは神の降臨する場所である。




一般人は愚か、巫女でも
何かの祭りごとではないと
入れないようになっている。




ふぅっと息を吐くと白い息が出る。



柵に肘を置いて静かに外を眺める。




「姫巫女様」




テラスの入口からそっとした声がかかる。



その声はここ数年でもう聞きなれた声で
私の付き人になってからは



だいぶん苦労をかけただろう。



「なに?アーシャ」



振り向かないまま応える



「ご朝食のお時間です。」



分かったわ。そう返事をすると
体をアーシャの方に向ける。



そこで靴を履いてないことを思い出すと
アーシャが靴を差し出してくる。




彼女の優秀さに笑みを零しながらその靴を貰う。



「おはよう、カイ」



「おはようございます。姫巫女様」



アーシャの横に並んでいる
騎士の格好をした男に声をかける。



彼はカイ。この国1の精鋭部隊の1人だ。



彼もよく私のせいで振り回されたことだろう。


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