セルトリア学園
そこでようやく緊張の糸が切れたヒロは
ガクリと崩れ落ち地面に膝をつく。
その瞬間、自分とレオンとの力差を思い知らされ
拳を地面にたたきつける。
なんのために強くなったのか!
もう二度と失わないため、
あの人達の横にたつためだったのに、
あの人達の土台にも乗れない。
ぐっと涙をこらえる。
ヒラリと自分の殺気で落ちた枯葉が
目の前に滑り落ちる。
レオン兄たちがここにこだわるのは
故郷に帰れないからだ。
せめて近しいところにいたいという
狙いだと思っていた。
セナに会えないから、
忘れないようにしていると思っていた。
いや、願っていたのに、彼の怒りようはなんだ。
会いたくないのか。
自分たちは会いたかった。
また笑いあう4人が見たかった。
なのに、なぜ。
いつからこんなに兄たちのことが
分からなくなったのか。
やさしかった3人は消えたのか。
「ヒールスト・ローレス・ファーマン様」
ユーハルイ・コーナス・イーベラスが
声掛けてくる。
彼女を見ると彼女はまだ膝が笑っている状態で
立っていた。
確か、彼女の家の爵位は義父と変わらない
伯爵だったはずだ。
俺は言葉を発する気になれず頭を少しだけ下げる。
「セナの、居場所を教えて。」
会ったばかりの人間のことを心配するユイに
いらだちを覚えながら自分も立ちあがり
着いてくるように顎で示す。
先に行かせるつもりは無い。
セナ様は大事な守護するべき人だ。
背中の方から目線を感じながら
俺は並木道をあとにする。