セルトリア学園

新学生



王都の中心にある王宮の奥にある部屋。



綺麗に手入れが行き届き
ホコリひとつないが、光も差し込まない一室



大量の書物があるその部屋は
この王国が誇る程の書物量が置かれている。



綺麗に並んでいる本は希少価値が高いものから
世間にでまわっているものまで



本棚を埋め尽くす勢いで全て綺麗に並べてある。



そこには1人、黒髪の青年が静かに本を
捲っていた。



2階の奥にある1冊の本を手に持ち
立ったまま読んでいる姿は



1つの絵のようにさえ思えてくるほど美しかった。



青年は自身の本をめくる音以外の音により
静かに顔を上げる。



自分は本をめくっているし、
共に来た仲間は天井にでも登って好きな本を
漁っているはずだ。



まず、ここは王宮の奥にある書庫なので
簡単に人は来ないはずだ。



入ってきた人の感じ慣れた魔力にその人物が
ここに来るのは珍しいため首を傾げる。



本を閉じて近くの柵から1階の机がある場所を
のぞき込む。



そこには元からいた仲間とさっき来た仲間が
向かい合って座っている。



さっき来た方はぶすくれているようで
元から居た方にからかわれている。



「どうした、レオン」



柵から飛び降り魔力で足元を支えながら
着地を緩める。



仲間であるレオンはそう声をかけても
そっぽを向いて答えない。



もう1人の仲間に目線を向けても肩を上げるだけだ。



スクスクと笑いながらレオンの横に座る。



「討伐依頼行くぞ」



嫌そうにいうレオンにまた2人の笑いが漏れる。



「なんだ、隠し事か?」



「好きな子でも出来た?」



からかう2人の声にさらに眉を顰めるレオンは
頭をかく。



「依頼に向かってる途中にでも話す」



そう言うレオンに2人はさらに首をかしげ



いつの間にか行くことになっている
依頼の話へと移る。




「何しよっか」



「ドラゴンでも行くか?」



「ぶん殴れるやつ」



「じゃあ、群れ系?」



「あんま弱かったらレオンが殴れない」



「飛竜の群れ」



「それ天災」



「ワイバーンの群れなら近くに出来始めてる」



「あー、それで」



「きっまりね」



「あぁ、決まりだな」



ゆっくりと閉まる扉は、



それ以上の会話をかき消した。
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