セルトリア学園
ドンドンと1人で進んでゆくレオンの後ろ姿に
大きくため息をつく。
右手に魔法を展開しながら近くにくるワイバーンを
撃ち落としてゆく。
それ以外はレオンが1人で潰している。
「すんごい、怒ってる?」
音もなく隣に降り立ったレーナにアマトは
肩をあげる。
「怒ってると言うより焦ってるかな?」
「でも、怒ってる。」
人の心に敏感なレーナがそう言うなら間違え
無いのだろう。
ふーんと聞きながらレオンを観察すると
言いたいことが何となく分かる。
「自分に、かな?」
アマトがそう言うとレーナはその気持ちが
分からないのか首を傾げる。
「なんで?」
「知らない。女に振られたんじゃない?」
その言葉にクフッと2人して笑い出す。
レオンの振られている姿が想像以上に
想像出来てしまい
2人して肩を揺らして笑っていると何か大きな
影がかかる。
咄嗟にレーナがアマトを抱え後ろに飛ぶ。
飛んできた方向を向くとそこにはレオンが
ワイバーンを殴っていた。
「おいレオン!危ないじゃないか!俺が!」
「そうだぞ、こんな鈍足な奴にワイバーン
なんか投げて
避けきれるわけないだろ」
「それは酷くないか?」
「そう?」
ちゃっかりアマトのことを穢すレーナに
抱えられながら背を叩く。
「うるせー、振られるか」
ブスくれたレオンの言葉にレーナが笑う
しかし脇に掛かられているアマトはその表情が
見えず文句を言う。
「ならどうしたの?」
バンバンと背中を叩くアマトを地面に落とし
ワイバーンを倒し終わったレオンに
向き直る。
砂を払いながらアマトは後ろを振り返る。
文句も言うが全く相手にされないので諦めている。
「....セナに、会った」
そう、表情を歪めながらレオンが言う
その瞬間ナイフと魔法が先程までレオンが
いた場所に炸裂する。
「あっぶな!!!何すんだよ!」
アマトは魔法を展開しながら、レーナはナイフを
構えてジト目で睨む。
「あんなに会わないようにって約束した。」
「注意しろと言ったはず」
「私にレオンが言った」
「俺は誓までしろと言った」
「アホなの」
「馬鹿だな」
「約束も守れないの」
「報告も遅い」
グサッと心に傷を負い、肉体的傷は避けながら
どんどんと表情が暗くなる。
「仕方ないだろ!!俺だって会う気は
無かったんだよ!」
もー!と言いながら地面を殴り自身の周りに
土の防御壁を建てるとその中に籠る。
アマトとレーナはドンドンとその壁を叩く。
「おい、レオン。詳しく話せ」
アマトの非力な叩きとは違いレーナの殴りは
壁が壊れそうだ。
ゴンゴンと嫌な音がするのを聞きながら
レオンはセナのことを話す。