セルトリア学園
側近の人が椅子を引くと巫女は素早く、
静かに立ち上がる。



私も一緒に椅子を引いてもらい立ち上がる。



カチャリと音を立てて扉の外に二人で出る。
外に出るとカイが扉の横に控えており
巫女に恭しく頭を下げる。



「カイ!今すぐ街へ行きましょう!
早く王都へ行きたいわ!」



「姫巫女様!?ちょ、巫女様のまえで!?」



「巫女様には許可は頂いたわ!」



「許可した覚えはありませんが、
仕方ありません。」



「ほらね!」



「セナ、先に大巫女様に挨拶へ行きなさい」



「あ、はい!行ってまいります!」



セナ、親に貰った名前で呼ばれたら
私はいつもの私に戻ることが許される。



「セナ様、少し落ち着いてください」



「これが落ち着いてられるものですか!」



後ろではぁ、とため息をつく声が聞こえたが
そんなものは知らない!



早く、早く行きたい。会いたいの



カイに隠れるようにしながら小指をそっと撫でる。



小指には目に魔力を集めたら
見れる黄色い糸が見えている。



4人での約束。絶対に守りたい約束。



巫女の使命を捨ててでも
絶対に守りたい約束なのだ。









< 5 / 44 >

この作品をシェア

pagetop