好き、禁止。
「たまに大学ですれ違うと嬉しくて、だけどだんだんそれももどかしくなって。足りない、もっと近くにいたい、佐野さんの大切な人になりたい」
「っ……」
やばい。やばいやばいやばい。
今絶対最上級に顔赤い。
逃げ出したい。でも逃げられない。逃げてはいけない。
「あのコンビニで佐野さんがバイトしてるって知った時は、もうこれは運命だと思いました。そこなら俺の家からもそんなに遠くないし、チャンスだって」
「……私がいるから、あそこでバイトを始めたの?」
「はい。やっと就活が終わって、バイトに応募する前に加藤にも報告しました。佐野さんのこと好きになったって。そしたらあいつ、今度は俺が背中押す番だって喜んでくれたんです」
「そうだったんだ……」
「俺、本気ですよ。佐野さんにとってはまだ出会って1ヶ月のただの後輩ですけど、俺はずっと好きで、他の人じゃ駄目で。だからまだ諦めたくない」
どうして神月くんが私を、とずっと不思議だったけれど、ようやく疑問が解けた。
私は彼に、2年も前から想われていたのだ。
よく、わからなくなってきた。
一途に想い続けてくれていた彼を、「好きじゃないから」と振った私。
それは誠実と言えるのだろうか。いやでも、好きじゃないのに付き合うのも無責任に思えてくる。
ただ一つわかる。
神月くんはきっと諦めない。