好き、禁止。

———


体調が悪い。ような気がする。
休みだからって出かけるんじゃなかった。早く帰って寝ようかと駅への道を歩き始めた。

バイトが休みの今日は、久しぶりに息抜きでもしようと買い物に来ていた。
平日の昼間となると、友達はみんな仕事をしていてなかなか遊べないので、1人で出かけることが多い。家から電車で30分ほどのところにあるショッピングモールには、子供をつれたお母さん達ばかりだった。

駅のホームで電車を待っていると、懐かしい気持ちになった。
ここは、私が行っていた大学の最寄駅でもあるのだ。4年間この駅にお世話になっていたので、周辺のお店や裏道にもかなり詳しくなっている。

ホームには、講義を終えたらしい大学生がちらほら立っていて、電車を待っている。
今では大学生を見ると若いなあと思うけれど、少し前までは自分もあの中の1人だったのかと思うと変な感じだ。きっと混ざっていても全然違和感はないだろう。

そういえば、神月くんも同じ大学に通っているんだっけ。
ふとそう思い出した時、電車を待つ私の隣に誰かが立った。

「やっぱり。どうしたんですかこんなところで」

「え……」

聞き覚えのある声に顔を上げて横を見ると、見覚えのある顔。少し見上げなければいけないくらいの背の高さ。

「こっ、神月くん……!?」

「こんにちは」

なんて偶然だ。
大きなリュックを背負っているところを見ると、大学からの帰りなのだろう。
まさか、バイト以外でも遭遇するなんて。神様は絶対に神月くんの味方だ。高級メロン様って恐ろしい。

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