好き、禁止。
「ごめんね、迷惑かけて。私がちゃんと体調管理出来てなかったせいで。ほんと、ごめんなさい」
そう言って、神月くんが握ってくれている手をぎゅっと握り返した。
神月くんも、さっきより強く握ってくれた。
「謝らないでください。……でも、今度からはちゃんと言ってください。しんどい時は教えてください」
「うん」
「佐野さんが倒れた時、俺本気で心臓止まるかと思った。怖かった」
「……うん」
何故だか、少しだけ泣きそうになった。
神月くんの気持ちが、想いが、繋いだ手のひらから流れ込んでくるみたいに、胸に迫った。
”大切に想ってくれてる人のことは、案外ちゃんと伝わるものよ。”
山田さんの言ってた通りだ。だって、こんなにも伝わってくるから。
「……抱きしめたいです」
「……うん」
繋いでいた手が離れる。
神月くんの手の行方を目で追う。その手が、私の肩を包み込んで行く。
ぎゅうっと、神月くんが私を抱きしめた。
縋るようなその姿が、泣いているように見えた。
まるで、全身で好きだと言われているみたいだった。
切なくて、苦しい。
だけどその苦しさが、甘い。
胸のあたりがきゅっと狭くなる。
私も、今、神月くんを抱きしめたい。
大きくてあったかい背中に、恐る恐る手を乗せた。
神月くんは一瞬びくっと動いたかと思うと、更に腕に力を込めてきた。
「ごめんね、ありがとう」
「佐野さん」
「……」
「佐野さん……」
好きです。
きっと彼は今、心の中でこう言ってる。