好き、禁止。
「明日のバイト、休んだほうがいいかもしれませんよ」
「うん。朝店長に電話してみる」
「そうですね」
ゆっくりと目を閉じてしばらくすると、やはり疲れていたんだろう、睡魔が襲ってきた。
どうしてだろう。
今日は昨日より、ぐっすり眠れるような気がする。
すぐ側にいる神月くんの存在が、緊張感と安心感の両方をもたらしているのか、それとも、色んなことがあったからかも。
「おやすみなさい」
「おやすみ、神月くん」
眠りに落ちる間際、神月くんが呟いた言葉が聞こえた。
「……俺のこと、好きになってくれたらいいのに」
一緒にいるとドキドキするのに、安心する。
嬉しいのに、泣きたくなる。
切ないのに、甘い気持ちになる。
私の気持ちは矛盾だらけだ。
神月くんが他の女の子と話してるところを見るのが嫌だった。
神月くんが悲しそうなところを見るのが嫌だった。
いつも笑っていてほしい。
いつも想っていてほしい。
私ばっかりドキドキさせられて。
悔しいけど、ムカつくけど、だけど全然嫌じゃなくて。
……こんなの、もう好きになってるよ。