好き、禁止。
随分と眠っていたらしい。
朝起きると、神月くんの姿が無かった。
何時だろう。
壁の時計を見ると、朝の7時頃だった。どうりで外が明るいはずだ。
起き上がってみると、昨日よりだいぶ体が軽かった。熱もかなり下がっているような気がする。
神月くんの看病のおかげかな、と心の中で感謝した。
「ん?」
テーブルの上に書き置きがあることに気付いた。
近付いて手に取って、ゆっくりと読んでみる。神月くんの字だ。
”泊めてもらってありがとうございました。
体調はどうですか?無理せずにバイトは休んでくださいね。
あと、しんどい時はいつでも連絡してください。”
文章の下に、神月くんの携帯の番号とアドレスが書かれていた。
そういえば、これだけ一緒にいるのに知らなかったのかと驚いた。
いつ帰ったんだろう。
きっと私を起こさないように、静かにドアを閉めて行ったんだろう。
神月くん、ちゃんと寝たのかな。
丁寧な字で書かれたメモを、何度も何度も読み返す。
本当に、感謝してもしきれないくらい迷惑をかけてしまった。何かお礼がしたい。
神月くんが喜ぶことって何だろう。欲しいものって何だろう。
彼が今、1番望んでいることは——。
自分の中に新しく生まれた、温かい感情。
それに手を触れるように、服の胸元をぎゅっと掴んだ。