night&day
それでもそんな好意に甘えていいのかわからずにいるとさなちゃんがおもむろに挙手をした。

「はい!それ、私も言おうと思ってたんですよ!全然気にする事ないんで大丈夫ですよ先輩!私としては、先輩が来てくれるだけで大助かりなんで」

とまで言ってもらえ、「なら」とそれに乗じた。

正直、そんな美味しい話、怖すぎる。
けど学生時代のバイトで稼いだ貯金は多くは無い。なぜ卒業旅行なんて行ったんだろう。何故あんなに外食ばかりしていたんだろう。後悔先に立たずだ。
きっと親に言えば仕送りを続けてくれるだろうけど、実はこの状況を言えていない。だから一日も早く仕事が欲しい。なのに見つからない。暗くもなるし泣きたくもなる。

「気にしないで。さなの先輩だしね。夜の仕事は真剣にするつもりは無いだろ?ノルマもそんな課さないから安心して。その変わりナンバーワン狙うとか、他の子の客取るとかは絶対やめてね。あともし何か揉め事に巻き込まれそうになったら俺かさなのどっちかにすぐ言って」
「はい。ありがとうございます」

ざっくりした注意事項と明日の時間を告げたお兄さんは、仕事だからと店を出た。
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