Nostalgia【短編】
雨に濡れても伸びないくらい、頑固そうな淡い茶色いくせっ毛の、切れ長の眼をした男の子だった。
食い入るように水溜まりを覗き込んでいたから、目に留まった。
その髪から滴る雨水から、傘を持たずこの空の下にいた事がわかって、興味が沸いた。
だから、声をかけた。
びしょ濡れで二人、初めて会って、挨拶もなしに水溜まりを覗き込んだ。
時々通る自転車のおじさんや、犬の散歩途中の女の子が妙な二人組を訝しげに眺めては少し距離を置いて通り過ぎていく。
眺める水溜まりに、小さな蛙が入って、空を歪めて泳ぐ。
「………ねぇ」
男の子は顔を上げずに「うん?」とだけ返す。
食い入るように水溜まりを覗き込んでいたから、目に留まった。
その髪から滴る雨水から、傘を持たずこの空の下にいた事がわかって、興味が沸いた。
だから、声をかけた。
びしょ濡れで二人、初めて会って、挨拶もなしに水溜まりを覗き込んだ。
時々通る自転車のおじさんや、犬の散歩途中の女の子が妙な二人組を訝しげに眺めては少し距離を置いて通り過ぎていく。
眺める水溜まりに、小さな蛙が入って、空を歪めて泳ぐ。
「………ねぇ」
男の子は顔を上げずに「うん?」とだけ返す。