28時間
翌日はジュエリーの老舗ブランドへ。

B市には路面店がある。

落ち着いた雰囲気の中で選ぶのがいいだろう、と慎一は思った。

昨日買ったワンピースが早速役に立った。

リネンのワンピースはシンプルだが、着ると空気を含んで軽やか。

遥が、

「ちゃんとしたお店に指輪を買いに行くなら、もうちょっとお化粧を何とかする」

と、昨日行ったデパートの化粧品カウンターでメイクを整えてもらったのも良かった。

揺れるピアスと相まって、今日の遥はとても華やかになった。


「きれいだね」

「ありがとうございます。
市長に釣り合ってますか?」

「大丈夫だよ、俺の方が釣り合ってない。ジーンズだし、適当でごめん」

そうは言うが、慎一は、褪せた紺色のデニムに薄水色のリネンシャツを合わせていて、とても似合っていた。
シャツは長袖で、自然な感じで袖を折り返しているのがいい、と遥は思った。

市長はスーツも私服もセンスが良い。
風格というのだろうか、やっぱり普通の男の人とは存在感が違う。
洗練された雰囲気を持っている。

遥は、自分が賢いという自覚はあったが、その反面、洗練さについては不足していることも自覚していた。

前妻の彩子さんは、その点は完璧だった。
きれいで有能で、洗練された女性だった。

まずはお洒落とメイクを改善だな、と遥は思った。

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