28時間
また中心部から離れ、動物園のそばにあるフレンチへ。

人気店だが、東京と違って予約は取りやすい。

ドレスコードはあったが、ランチだからジーンズにノージャケットでもいい、と言ってくれた。

店に入ると、支配人はすぐに慎一がA市長だと気付いた様子だった。
個室に通される。

ソムリエがオーダーを取りに来る。

「ランチコース2つ。メインは魚で。
彼女はグラスワインを皿に合わせて、私は炭酸水で」

慎一が慣れた様子でオーダーする。

「私も炭酸水で大丈夫です」

自分だけアルコールを飲むのは悪いと思い、遥が口を出した。

でも慎一は、

「いいよ、せっかくだから飲んで。ワインがあった方が美味しいよ」

と言い、結局遥だけ飲むことになった。

「お優しいですね」

ソムリエがにっこり微笑んだ。

本当に慎一は優しい。

そして有言実行で、昨日から本当に遥を甘やかしっぱなしだ。
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