28時間
次はB市中心部のデパートへ。

泊まる準備をしてこなかったので、着替えや化粧品を揃える必要があった。

一通り買い物を済ませた後で、慎一が言った。

「ワンピースを買おう」

「なぜ?」

「遥を甘やかす日だから」

甘やかす日だなんて。
嬉しいな。
年上ならではの余裕だなと、遥は思った。

遥が試着した中では、青紫色のリネンのワンピースがよく似合った。

店員がそっと、遥に言った。

「一緒に選んでくれるなんて、優しくて素敵ですね」

遥は笑顔で「ありがとうございます」と返した。

そうでしょう、私の夫はとっても優しいんですよ。
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