28時間
ワイナリーとホテルは、B市から車で1時間ほどの、山の中腹にあった。

斜面を利用した葡萄畑が広がり、茂った葉に夕暮れの光が透けている。
乾いた暑さが気持ちいい。

チェックインして荷物を置くと、慎一は部屋から出るのが面倒になった。

「試飲しなくていいんじゃない。
ワインは好きなだけ買ってあげるよ」

遥を後ろから抱きしめ、耳にキスして誘ってみる。

でも遥は、

「えー。それは違いますよ、試飲して買うから楽しいんです」

と言って、慎一の腕をすり抜けた。
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