過保護な副社長はナイショの恋人
副社長が私を好き……? そんなこと、夢にも思っていなかったから、頭が混乱する。

だいたい、副社長に対して憧れはあっても、恋愛対象として見ていなかった……。

私と、釣り合う人じゃないと当たり前に思っていたのに。

「どうして、私なんですか……」

ポツリと出た本音に、副社長は言った。

「前にも言ったろ? ひたむきで、一生懸命なきみが気になって仕方ないと。本店にいる安部くんのことは、本当にただの先輩?」

夕方のあやめとのやり取りを聞かれていたからか、突然出てきた雅也先輩の名前には驚かなかった。

「はい……。私が追いかけて就職したとか、そういうのじゃないですから……」

「それなら良かった」

副社長は静かに言うと、さらに顔を近づけてきた。このままだと、キスをされるかも……。

流されていると思われたくないし、副社長という立場の人だから許していると、誤解をされたくもない。

そう思い、彼の体を優しく押し返す。でも、まるで動かない副社長は、私を真っ直ぐに見つめた。

「私、簡単に誰でも受け入れるわけじゃありません」

緊張しながらも言うと、副社長はフッと笑った。

「分かるよ。きっと、そういう女性じゃないと。だけど、俺が強引なんだ」

「副社長……」

次の瞬間、副社長の唇が重なった……。
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