過保護な副社長はナイショの恋人
軽く彼の胸を押し返すと、一翔さんは名残惜しそうに言った。

「そうだな。分かった、もうやめるよ。次は、ご飯食べに行こうか」

濡れた私の唇を拭いながら、一翔さんは優しく言った。こんな風に接していると、普通の男性なのに……。

高級外車にプラチナカード、そして高級ジュエリーを簡単にプレゼントする。そんな一翔さん
は、本当は何者なんだろう。

もしかして、家柄のいい息子さんとか? まさか私、とんでもない人と付き合っているんじゃ……。

「はい……。どこに行きますか?」

また高級な場所なのかな。ドキドキ緊張しながら答えを待っていると、一翔さんが少し間を置いて言った。

「和食はどう? 好き?」

「和食ですか? はい、もちろん。ぜひ、連れて行ってください」

良かった。フランス料理とか言われるんじゃないかと思っていたけど、和食なら少しは敷居が低そう。

返事を返すと、一翔さんは微笑んで車を走らせた。
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