過保護な副社長はナイショの恋人
「あ、ありがとうございます……」

ドキドキしながらカードを見つめる。シルバーのスペアキーは、一度も使われていないようで傷ひとつない。

「俺がいないときでも、来てくれて構わないから。それから次は、着替えを持ってこいよ」

「え?」

その言葉の意味を聞こうと彼に目を向けた途端、唇が塞がれた。キラキラと輝くリビングからの夜景が気にならないくらいに、今の私は一翔さんだけを見ているーー。

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「どうしよう。行ってもいいかな」

日曜日、今日は一翔さんは仕事に行っていて会えない。昨日は日付が変わる前には私のマンションまで送ってくれて、帰り際に交わしたキスの余韻がまだ残っている。

貰ったスペアキーをベッドに座って眺めながら、ひとり悶々と考えていた。いつ来てもいいとは言ってもらえたけど、どういうタイミングで行けばいいんだろう。

恋人のスペアキーを貰ったこと自体が初めてで、どうしていいか分からない。

そうだ、昨日のお礼に夕飯を作るとか、どうだろう。一翔さんは自炊をしないと言っていたし……。

「よし! 帰りは遅くならないと言っていたし、晩ご飯を作って待っていよう」

そう決めてベッドから立ち上がった私は、ハンガーラックに目を移した。

着替え……持っていこうかな。
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