過保護な副社長はナイショの恋人
真衣子さんのことは、恋人じゃないと聞かされていたから、安心している部分があったのに……。

衝撃的な話を聞いて、飲み会は全然楽しめなかった。一翔さんが帰るまでの二週間、モヤモヤした気持ちのままでいなければいけないのか……。

「咲実ちゃん、ふたりで抜けよう。約束だろ?」

会がお開きになり、帰る人や二次会のカラオケに行く人で、店の外はごちゃごちゃし始めている。

そんななかで、先輩は私の腕を掴み、路地へ引っ張り込んだ。

そして壁際に押しやり、私に顔を近づけてくる。

「せ、先輩、やめてください。それに、私は約束なんてしていません」

体を押し返しながら、先輩を睨みつける。酔っているのもあるだろうけど、こんなの先輩らしくない。

「約束したようなもんだよ。それに、俺はもっと咲実ちゃんに、自分を知ってほしいんだ。なあ、いつまで先輩後輩でいればいい?」

「え……? どういうことですか?」

ドキドキ胸が高鳴るというより、怖く感じてしまう。雅也先輩とは、一線を引いた関係だと思っているだけに、この強引さに抵抗感があった。

「鈍いな、相変わらず。俺は、咲実ちゃんが好きなんだ。付き合ってほしい」
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