過保護な副社長はナイショの恋人
私は別れるべきですか?
『日曜日に帰るよ』

二週間後の日曜日、予定より二日早く一翔さんが帰ってくることになった。

彼の電話は、飲み会の夜と帰国前日の二回だけ。声すらなかなか聞けなくて、切ない二週間だったけれど、やっと会えるのだと思ったら、気分も高まってくる。

一度会社に寄るから、マンションに戻るのは夜になると言っていた。

「早く帰ってこないかな……」

そわそわと落ち着かない気持ちでいると、玄関の鍵が開く音がした。

「やっと、帰ってきた!」

ソファーから立ち上がった私は、反射的に玄関に向かう。ちょうどドアが開いたところで、スーツケースを持った一翔さんが入ってきた。

「咲実、ただいま」

微笑む彼に、私は無意識に飛びついていた。

「お帰りなさい、一翔さん」

真衣子さんのことは、また日を改めて聞こう。今日は疲れているだろうし、サラッと話せる内容ではない。

それに今夜は、二週間ぶりの再会が嬉しいから、それを素直に実感したかった。

「二週間、変わったことはなかったか?」

一翔さんは私を抱きしめ、そう言った。二週間ぶりの彼の温もりに浸りながら、飲み会の報告だけはする。

きっと、一翔さんの耳にも入るだろうから……。だけど、先輩からの告白はさすがに話せない。

すると案の定、一翔さんの指摘が入ってきた。

「ということは、安部くんもいたってことか」

「まあ、そうなんですけど……」

気まずく応えると、一翔さんは体を離した。そして、私を真剣な目で見下ろしている。

「咲実は、誰にも渡さない」

そう言った彼は、私の唇を塞いだ。
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