過保護な副社長はナイショの恋人
玄関先で一翔さんは両腕を掴み、私を壁に押しやった。やっぱり、こんな強引な行動でも、相手が一翔さんだと胸がときめく。

いつも以上に激しいキスに、体が熱くなっていくのが分かった。

「咲実を感じると、疲れも飛んでいくな……。会いたかったよ」

と囁いた一翔さんは、私を軽く抱きかかえた。

「一翔さん⁉︎」

ドキッとして彼を見ると、一翔さんはニッとしている。

「早く抱きたかった」

ベッドルームへ私を連れていった一翔さんは、じれったそうに服を脱がせ、体じゅうにキスをしてくれる。

「ん……。一翔さん……」

「可愛い……。もっと、声を聞かせて」

こんな風に触れられるのも、キスをされるのも、一翔さんじゃなきゃダメ……。

心から今、そう思う。

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「一翔さんのお父様って、銀行の社長をされてるんですね。聞いて、ビックリしました」

体を重ね合ったあと、ベッドでゆっくりしながら、飲み会で聞いた話を一翔さんにした。

すると、彼は苦笑いをしながら、私の髪を優しく撫でた。

「余計な情報が流れてたみたいだな。そのとおりだけど……。咲実は、なんでそんな浮かない顔をしてるんだ?」

「だって、複雑で……。一翔さんの周りの方たちって、本当にステータスの高い人たちばかり……」

だから、真衣子さんのような人が、結婚相手の候補に挙がるんだろうし。

「そんなことは、気にする必要ない。それよりも、もっと咲実のこと教えて。趣味や、好き嫌いや、どうすれば俺といて、幸せを感じてくれるかとか……」

「幸せ……ですか? それは……」

この二週間で、その答えは見つけられたと思う。

「一翔さんが側にいることです……」

そう答えると、一翔さんは私を抱きしめた。

「それなら、すぐに叶えてあげられる。なあ、咲実。ここで一緒に暮らそう」
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