過保護な副社長はナイショの恋人
「えっ……？ 本当なんですか？」

あまり信じられなくて、半信半疑で真衣子さんを見ていると、彼女は得意げに言った。

「今回の私たちの結婚は、彼のおじいさまの好意でもあるの。この縁談をキッカケに、一翔さんとお父様の仲が戻ればいいって」

「そんな……」

「私なら社長令嬢で、家柄にも不足はないし、父も一翔さんのお父様とは知り合いだから、私の方があなたよりふさわしいでしょ？」

最後は低い声で、威圧するように言った。彼女が、一翔さんにかなり執着しているのは分かる。

「一翔さんから、直接聞きます……」

絞り出すような声で応えると、真衣子さんは「好きにしていいわよ」と言った。

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二十三時、ようやく一翔さんが帰ってきた。こんな夜遅い時間に、話して迷惑じゃないかな……。

迷う気持ちと、真衣子さんの話に動揺している自分が表に出ていたのか、彼から声をかけてきてくれた。

「なにかあった？ 元気がないな」

ベッドに座り、一翔さんは私の肩を抱いて引き寄せた。

「咲実が元気ないと、心配なんだけど」

一翔さんに心配をかけさせているなら、正直に話してしまおう。

「一翔さん、今夜誰と会っていました？」

「え？ なんでそんなこと……」

険しい顔つきになった彼に、私は真衣子さんのことを話した。
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