過保護な副社長はナイショの恋人
幸せの道を進みます
どうして、彼が仕事を辞めさせられないといけないの? ア然としている私に、真衣子さんはわざとらしいため息をついた。

「おじいさまがね、恥をかかせた分、せめて自分の跡を継げって。彼のおじいさま、不動産業を営んでいるから」

「そんな、あまりにも無理やり過ぎます……」

どうして無理強いさせられた結婚を断ると、仕事まで変えさせられるわけ?

「それが一翔さんの家のルールなんだから、仕方ないでしょ? 彼はあなたとの仲を守るために、了承した。せっかく自分の力で、副社長になったのにね」

「その話は本当なんですよね……?」

それでも半分疑うと、真衣子さんは冷ややかな目で見た。

「当たり前でしょ。父から聞いたもの。昨夜は、おじいさまも同席されたみたいだから」

ここまで言い切るのだから、ウソはついてないだろうし、一翔さんに聞けば分かること。

真衣子さんの話したことは、きっと真実に違いない。

じゃあ、私はどうしたらいいの……?

「話しはそれだけ。咲実さんのせいで、一翔さんの人生がメチャクチャになりかけてる。それは分かってね」

冷たく言い放った真衣子さんは、サっと立ち上がると店を出て行った。
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