過保護な副社長はナイショの恋人
一翔さんに別れを告げてから二週間、あれか、彼とは会っていない。
仕事でも顔を合わせることはなく、副社長室に呼ばれることもなくなった。
代わりに吉原さんが、副社長室への仕事をメインで任されるようになり、日々張り切っている。
あやめからは、「どうしたんだろうね」と、私が指名されなくなったことを不審がられたけど、「さあ……」と誤魔化してみた。
仕事でも、線引きをされたみたいだけど、それは仕方ない。あんな一方的な別れで、恨みごとひとつも言われないだけ、じゅうぶん大切にされた。最後まで……。
だけど、そう思っていても割り切れているわけじゃなくて、彼を思い出すと涙が溢れてくる。
本当に良かったのか、自問自答してしまうけど、あんな一方的な別れを彼が飲み込んだのだから、それが答えなのだろう……。
これで一翔さんがこれまでどおり、この会社で活躍できるなら、それが一番。
「咲実、そういえば今夜は安部さんと約束だっけ?」
あやめに言われて、頷く。
「うん。ご飯に誘われてるの」
飲み会のとき以来、初めて顔を合わせるから緊張する。連絡は一切なかったし、先輩があの夜のことを覚えているのか疑問だった。
だけど今夜誘われた理由が、「話したいことがあるから」で、もしかしたらあの夜のことなのかもしれないと思っている。
仕事を急ぎ気味でやり終えると、先輩と約束のソフィスティホテルへ急いだ。
仕事でも顔を合わせることはなく、副社長室に呼ばれることもなくなった。
代わりに吉原さんが、副社長室への仕事をメインで任されるようになり、日々張り切っている。
あやめからは、「どうしたんだろうね」と、私が指名されなくなったことを不審がられたけど、「さあ……」と誤魔化してみた。
仕事でも、線引きをされたみたいだけど、それは仕方ない。あんな一方的な別れで、恨みごとひとつも言われないだけ、じゅうぶん大切にされた。最後まで……。
だけど、そう思っていても割り切れているわけじゃなくて、彼を思い出すと涙が溢れてくる。
本当に良かったのか、自問自答してしまうけど、あんな一方的な別れを彼が飲み込んだのだから、それが答えなのだろう……。
これで一翔さんがこれまでどおり、この会社で活躍できるなら、それが一番。
「咲実、そういえば今夜は安部さんと約束だっけ?」
あやめに言われて、頷く。
「うん。ご飯に誘われてるの」
飲み会のとき以来、初めて顔を合わせるから緊張する。連絡は一切なかったし、先輩があの夜のことを覚えているのか疑問だった。
だけど今夜誘われた理由が、「話したいことがあるから」で、もしかしたらあの夜のことなのかもしれないと思っている。
仕事を急ぎ気味でやり終えると、先輩と約束のソフィスティホテルへ急いだ。