過保護な副社長はナイショの恋人
翌週明け、本社は一翔さんの婚約話で朝から盛り上がっていた。
社員のひとりが、月曜発売の週刊誌で、一翔さんと真衣子さんの婚約報道の記事を見つけたからだ。
テレビで報じられているわけでもなく、あくまで週刊誌のスクープ記事。
だから、真偽も定かでないけれど、同じ週に真衣子さんが副社長室に訪れている姿も目撃され、ますます噂は盛り上がっていった。
「吉原さん、かなり落ち込んでたけど、まさか本気だったのかな?」
あやめは半ば呆れ気味に言っていて、私は苦笑するしかない。
一翔さんの婚約報道に、傷つく自分がいるけれど、きっといつかこの気持ちを乗り越えられるはず。
週刊誌の報道後、一翔さんから何件か着信があったけれどすべて無視している。
きっと、婚約のことを話したいのだろうけど、今さら聞いたところで、私の心は変わらない。
これで良かったのだんだ。だけど、一翔さんが吹っ切れていないのなら、やっぱり向き合わなければいけないのかも……。
そう思い、三十日は石庵に行くことにした。もちろん、やり直すためじゃなくて、一翔さんに納得してもらうため。
そして私自身も、それを最後に彼をキッパリと思い出にする。もう、一翔さんで心を乱さないために。
社員のひとりが、月曜発売の週刊誌で、一翔さんと真衣子さんの婚約報道の記事を見つけたからだ。
テレビで報じられているわけでもなく、あくまで週刊誌のスクープ記事。
だから、真偽も定かでないけれど、同じ週に真衣子さんが副社長室に訪れている姿も目撃され、ますます噂は盛り上がっていった。
「吉原さん、かなり落ち込んでたけど、まさか本気だったのかな?」
あやめは半ば呆れ気味に言っていて、私は苦笑するしかない。
一翔さんの婚約報道に、傷つく自分がいるけれど、きっといつかこの気持ちを乗り越えられるはず。
週刊誌の報道後、一翔さんから何件か着信があったけれどすべて無視している。
きっと、婚約のことを話したいのだろうけど、今さら聞いたところで、私の心は変わらない。
これで良かったのだんだ。だけど、一翔さんが吹っ切れていないのなら、やっぱり向き合わなければいけないのかも……。
そう思い、三十日は石庵に行くことにした。もちろん、やり直すためじゃなくて、一翔さんに納得してもらうため。
そして私自身も、それを最後に彼をキッパリと思い出にする。もう、一翔さんで心を乱さないために。