過保護な副社長はナイショの恋人
ーー三十日。一翔さんに言われた午後七時に、石庵に着くと、すぐに仲居さんが迎えてくれた。
どうやら、今夜は貸切らしい。そんなことをしてまで、いったいなにが行われるのだろう。
緊張しながら、店の奥の座敷に通された。
「梶田様がお見えです」
仲居さんの声かけに、即座にふすまが開かれる。開けたのは一翔さんで、私を見るなり抱きしめた。
「や、やめてください……」
こんな風に抱きしめられたら、まだ心がときめいてしまう。決心を揺らがせたくなくて、彼の体を押し返そうとしたとき、
「一翔、お前が話していたお嬢さんは、その方かね?」
年配の男性の声がして、一翔さんは私を離した。
「そうです、おじいさん。彼女が、俺の愛する女性です」
おじいさん⁉︎ 改めて部屋に目をやると、長テーブルに、蓮見社長と真衣子さんを始め、初老の男性ふたりと、中年の男性と女性が座っている。
その方たちが、一翔さんのご両親とおじいさんだということは、なんとなく予想ができるほど、一翔さんとよく似ていた。
そして、白髪の威厳ある初老の男性が、どうやら一翔さんのおじいさんらしい。もう一人の方は、真衣子さんのおじいさんらだろう。
「しかし、そちらのお嬢さんは一翔、お前を嫌っているように見えるがな」
どうやら、今夜は貸切らしい。そんなことをしてまで、いったいなにが行われるのだろう。
緊張しながら、店の奥の座敷に通された。
「梶田様がお見えです」
仲居さんの声かけに、即座にふすまが開かれる。開けたのは一翔さんで、私を見るなり抱きしめた。
「や、やめてください……」
こんな風に抱きしめられたら、まだ心がときめいてしまう。決心を揺らがせたくなくて、彼の体を押し返そうとしたとき、
「一翔、お前が話していたお嬢さんは、その方かね?」
年配の男性の声がして、一翔さんは私を離した。
「そうです、おじいさん。彼女が、俺の愛する女性です」
おじいさん⁉︎ 改めて部屋に目をやると、長テーブルに、蓮見社長と真衣子さんを始め、初老の男性ふたりと、中年の男性と女性が座っている。
その方たちが、一翔さんのご両親とおじいさんだということは、なんとなく予想ができるほど、一翔さんとよく似ていた。
そして、白髪の威厳ある初老の男性が、どうやら一翔さんのおじいさんらしい。もう一人の方は、真衣子さんのおじいさんらだろう。
「しかし、そちらのお嬢さんは一翔、お前を嫌っているように見えるがな」