過保護な副社長はナイショの恋人
そんな冷たい言葉を受け、一翔さんは私に目を向けた。

「咲実、本当の気持ちを話してほしい。お前が、俺の顔も見たくもない、声も聞きたくないと言うなら、本当に諦める」

「え……?」

なぜ、皆の前でそんなことを聞いてくるの? そして、なぜこの場へ私を呼んだの?

「教えてほしいんだ。咲実の気持ちを……。こうやって来てくれたのは、まだやり直せるから?」

「それは……」

言わなければ……。お別れすることに、間違いはないと言わなければ。

それなのに、どうしてその言葉が出てこないの……。

キライなわけないのに、今でもこんなに好きなのに、一翔さんにウソをつこうとすることが、こんなにも苦しいなんて。

すると、蓮見社長が沈黙を破った。

「真衣子、諦めなさい。お前は一翔くんの大切な女性を、ここまで傷つけて楽しいか?」

「で、でもお父様!」

反射的に蓮見社長の方を見ると、社長はゆっくり立ち上がり、私たちのところへ来た。

「すまなかったね、一翔くん。そして、咲実さん……」

「え……?」

突然なにを言われているんだろう。すべてが予想もできなかったことで、頭が混乱する。

「咲実、今夜はお前にプロポーズしたくて、ここへ来てもらった。ごめん、本当にここまで振り回してしまって……」
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