ハルを待つ人
それは高校生活で3度目の春のことだった。赤い髪の毛と無数のピアスから僕は教師の大多数からはあまりいい目ではみられてなかった。赤く染めた日から、僕の評価は著しく右肩下がりを続け、完全なる非行少年のレッテルを手にした。それでも僕が口頭注意や面談のみだったのは、停学にも値しないほど他の悪びれた行いをしてこなかったことへの違う意味での評価であった。その頃の僕は進路など考えていなかった。そこそこの国立大学に進学出来る学力は持ちあわせていたけれど、なにを学ぶかとかなにになりたいのかとか具体的な未来を描けないでいた。とりあえず進学はして、という諦めにも似た母の言葉と父の怒声にも何も感じなかった。17歳の春。運命だと今でも思ってる。運命の人だなんて言ったら彼女は笑うかもしれないけれど、僕にとって彼女との出会いは、一世一代の出会いだと言っても過言ではないと思ってる。
3度目のクラス発表で、3年4組になった。教室には見知った顔、名前はよく聞く顔、今まで見たことない顔の三種類の人たちがいた。