不機嫌なカレと秘密なつながり
「彰汰に話をすればいいんでしょ! バスケ部に入れって言えば」

あたしはミチル先輩の手を払うと、廊下を走りだした

彰汰が自由に行動できないのは、あたしのせい

あたしが言えば、彰汰がバスケ部に入るって思ってるんでしょ?

あたしが命令すれば、彰汰がその通りに動くって…誰もがそう思ってるんでしょ

傷痕のせいで、あたしが彰汰を縛りつけているって

「おいっ」

教室の前まで走って帰ってきたあたしは、彰汰に腕を掴まれた

「パン、あげる」

あたしは手にあったパンを彰汰に投げつけた

「おい」

教室に入ろうとするあたしの腕をぐいっと、彰汰が引っ張った

「何?」

「どこに行ってた? 5限も6限も…授業を受けてないって」

「別に」

「『別に』…なに?」

「なんでもないって」

「理由は?」

「バスケ部に入部したら、言う」

彰汰の目がすっと細くなると、『ふう』っと息を吐き出した
< 10 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop