不機嫌なカレと秘密なつながり
「学校! 平日なんだから、学校に行くのが当たり前でしょ。いちいち聞かないでよ…ていうか、毎日、女子寮まで来なくていいって言ってるでしょ」

「鞄、貸せ」

大男は、あたしから鞄を奪うと、すたすたと歩き始めた

ちょっと! あたしの話を聞きなさいよっ

「毎朝、海堂君、えらいわねえ。名前通りのお『姫』サマのお迎えね」

『くすくす』と女子の先輩たちの笑い声が耳に入ってきた

だから、嫌なの

毎朝、笑われる身にもなってよね

「鞄、返して! 一人で歩ける」

あたしは彰汰から、鞄を引っ張るが、戻ってくることはなかった

『じゃあ放課後、勝手に帰るなよ』

彰汰はそう言って、あたしを教室まで送ると鞄を机の上に置いてから、自分の教室にも戻って行った

小学校6年の夏に、あたしは木から落ちて大怪我を負った

さっきの海堂彰汰と遊んでた

木登り上手なあいつに負けたくなくて、あたしも木に登った

彰汰に「やめろ」って言われたのに、無理して登って、高いところから落ちた

そして、一生消えない傷が身体に残ってしまった

彰汰はその傷痕を気にしている
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