不機嫌なカレと秘密なつながり
「おい」

女子寮を出てきたあたしの背中にむかって、彰汰の声が聞こえてきた

あたしは振り返ると、彰汰のジャージを投げた

「姫歌、なんか…へんな匂いがする」

ジャージを受け取った彰汰の顔が歪んだ

「ジャージのポケットに変なメモがあったから、女子寮の洗面所にある誰かの香水を吹きかけておいた」

彰汰はあたしの鞄をすっと奪うと、耳に息を吹きかけてきた

「俺、姫歌の匂いがいいって書いたんだけど?」

「あたしの匂いって、自分だとよくわからないし…」

「3日間くらいぶっ通しでジャージを羽織っててよ。そしたらきっと姫歌の匂いがジャージに……」

「馬鹿じゃないの? その頭の中で、何を考えるの?」

あたしの顔を見た彰汰がにこっと笑う

「そりゃ、姫歌とヤルことしか考えてない。どうやったら授業サボって、姫歌と一緒に過ごせるか?…とか。今日は俺のためにどんな下着だろうとか」

「他人のために下着を身につけるんではありません」

「でも脱がすのは俺だし」

あたしは深いため息をつくと、「馬鹿」と呟いた

「好きだよ、姫歌」

彰汰が、背後からぎゅっと抱きしめると、優しい声で囁いた
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