不機嫌なカレと秘密なつながり
あたしに負い目があると勝手に思い込んで、あたしの身の回りの世話を焼きたがる

あたしが勝手に登って、怪我をしただけのこと

あいつが責任を感じる必要もないし、世話をする必要もないのだ

なのに、どうして気にするのだろう

あたしは席にすわると、自分の指先を見つめた

確かに、怪我をしたばかりの頃は、手足の神経がおかしくて、指先が器用に動かせなかった

字を書くことも、ご飯を食べることも一苦労だったけれど、今は別に平気だ

通常の生活に、支障をきたすことはない

あいつがいなくても、一人で生きていけるくらいのリハビリはした

どうしてあいつは、今もあたしの傍にいるのだろうか?

負い目を感じて欲しくない

バスケを辞めてまで、この学校に来て欲しくなかった

「お姫サマのご登校よ」
「偉そうよねえ」
「海堂君に鞄を持たせて、良い身分だこと」
「たいした家の出でもないくせに」

女子たちの悪口が、あたしの耳にまで届く

いや、あたしに聞こえるように話しているんだろうけど
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