不機嫌なカレと秘密なつながり
少し離れたところで、男女がいちゃつく甘い声が聞こえている

食欲が失せた

手の中にあるパンを下に置くと、あたしは下唇を噛んで、目を伏せた

ぱっと顔をあげると、あたしは腕時計で時間を確認した

すっかり寝ていた

時計の針は、3時をとっくに過ぎていた

いけない、5限も6限もさぼっちゃった

この時間じゃ、終礼もきっと終わってる

お昼のパンがまだ、草の上に置かれてある

お昼も食べず、授業も出ず…何、してんだろ、あたし

あたしは立ち上がると、スカートについた土を両手で払った

開封もしていないパンのビニール袋の端を掴むと、すたすたと歩き始めた

バスケ部の部室の前で、足の歩みが緩む

ちらっとドアを見つめると、あたしはまた歩みを速めた

「小山内さん?」

部室から出てきたマネージャーが、あたしの背後から声をかけてきた

あたしは振り返ると、赤いジャージを着ている2年生のマネージャーの顔を見つめた

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