不機嫌なカレと秘密なつながり
あたし…また、彰汰を裏切るの?

岸沼のときみたいに…なっちゃうの?

今度は薬のせいで…意志とは関係なく、身体が勝手に反応するってこと?

あたしは席を立とうと、テーブルに両手をついた

「あら、逃げるの? それはツマラナイわ。でも、逃げられるかしら? 身体がどんどんとつらくなっていくのに…ねえ。逃げ切れるかしら?」

麻耶先生は、「ふう」と、息を吐き出した

あれ?

心なしか先生の頬が紅潮しているように見える

あたしは一条君の顔を見た

あたしの視線に気がついたのか、一条君の首を動くと、あたしに微笑んだ

「先生、焦ってるでしょ? どうして自分の身体が熱いのか? 間違いなく薬は小山内さんのほうにいれたはずなのに…って」

一条君が、テーブルに肘をつくと、にやりと口の端を持ち上げた

「それ、本当に媚薬? 俺のジャージの中にも同じような小瓶が入ってるんだけど?」

「ちょ…私を騙したの?」

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