不機嫌なカレと秘密なつながり
「確かに。姫歌を見るだけで、我慢ができないよ」

「はいはい」

我慢するっていう言葉は、彰汰にはないのかな?

「姫歌、好きだよ」

ずるい…耳元で囁かれたら、抵抗できないじゃない

あたしは彰汰の首に絡みつくと、足を開いた

「早く…して」

「わかってる。俺のお姫サマ」


「麻耶先生は、俺が小学生のときの家庭教師だったんだ」
 彰太が乱れた制服を整えてつつ、口を開く

 あたしに背を向けて話しているから、彰太がどんな表情をしているのか全くわからない

 いま、どんな気持ちでいるの?
 背中だけじゃ、わからないよ、彰太
 顔を見せて、お願い

「彰太、つらいなら……」
 言わなくていいんだよ
「大丈夫。このまま、姫歌に誤解されたままのほうが嫌だから」
「彰太」

 あたしの胸の奥がきゅっと締め付けられた
 きっと……ううん
 絶対につらいはずなのに
 吐き気を催してしまうような過去なんでしょ?

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