キラキラしている人がいる
「先輩、一緒に部活に行きませんか?」
変ないらだちはそのままに、放課後になってしまった。
そして本日三度目。俺の前に現れた後輩。
同じ場所に向かうのにわざわざ振り切るのも馬鹿らしいのでそのまま一緒に歩き出す。
特に会話はない。
この後輩が勝手についてくるだけの時間だ。
「あ、中田氏。部活だね。」
後輩の行動の意味不明さにもイライラしながら歩いていると、昇降口でばったり小林に会った。
同じクラスだから近くに下駄箱があるのは当たり前だし、日中は同じ教室にいるわけだが、一度認識するとよく目に入ってくるものだ。
「陸上部って大変よな。毎日走ってるんでしょ?」
「別に、陸上部に限らずどの部活も大変だと思うけど。」
「調理部は大変じゃないよ!」
「…堂々と言うことじゃねぇだろそれは。」
「それもそうだね!」
小林はいつも楽しそうに話をする。
話している顔が表情豊かだからそう感じるのかもしれない。
俺とは真逆だ。
「あ、昨日のパン食べてくれた?」
「…おう。」
「おいしかったでしょ?」
「…うまかった。けど、あれは明らかに限定パンじゃねぇだろ。」
「だって、中田氏がお邪魔するせいで、行ったらもう売り切れてたんだもの。
でも、昨日の限定パンはピーマンパンだったらしいから食べなくて正解かな。あたしピーマン嫌いだし。」
「限定パンって毎日変わるの?」
「そうなの!店長がその日の気分で新しいもの作るからね、当たり外れの差がひどいの!今日のは大当たりだったよ!」
「豆腐バーガーブラックペッパー?」
「あれ、聞いてたの?なんだー…あ、実は気になってたりする?」
「うまかった?」
「めちゃくちゃ!」
また瞳が輝いた。
キラキラ、キラキラ。
真っ黒な瞳の空に星のかけらを散りばめたかのよう。
あまりに眩しく輝くものだから、じっと目を合わせていたら、輝きに飲み込まれそうだ。