キラキラしている人がいる
「小林って中田と仲良かったのか。」
第三者の声に、浮上した心がストンともとに戻るのがわかった。
ずっと俺と小林の様子を眺めていた土井が、面白そうに話しかけてくる。
「土井こそ、今日も中田と弁当食べてたの?」
「いや、帰れって言われてた。」
「え、全然仲良くねぇ。」
笑い声をあげながら会話をする二人に、先ほどは簡単に浮上した心が少し沈む。
自然と視線をそらしてしまった。
「よかったらさ、小林も俺らと飯一緒に食わね?」
「は?」
「え!」
ニヤニヤとした土井の提案に、俺は疑問の声を、小林は驚きの声をあげる。
小林と一緒に飯っていっても、小林は自分の仲のいい友達といつも飯食ってんだし、こっちにはこないだろう。
なにを余計なことを言っているんだこいつは。
「一緒に食べてもいいの?」
土井を睨みながらそんなことを思っていたら、小林から疑問が飛んできた。
俺に向けて言っているのか、横からキラキラとした視線を感じる。
俺と一緒に飯を食ったら、小林が周りから何か言われるかもしれない。
最初に小林が言っていたように、俺はクラスで浮いていて、誰とも関わらなかったし、関わりたいと思っていなかった。
しかも、ヤンキーと言っていたのは、きっと小林の周りの人間も同じように思っていたからでた言葉だろう。
そんな奴と関わったら、小林は周りにどう思われるんだろうか。
俺と仲良くしない方がいい。
中学の時も同じだったじゃないか。
…パンなんて頼まなければよかった。
昨日の俺があんな約束をしてしまったせいでこんな状況になってしまっている。
昨日の俺は考えなしの馬鹿だった。
「一緒になんか食わねぇよ。パンもやっぱりいらない。」