キラキラしている人がいる
「あたしの周りに、あたしが中田と仲良くしたところで意地悪する人なんていなし、もしされてもあたしはへこたれない。」
「そういう問題じゃねーだろ。俺が嫌だ。」
「あたしは中田に冷たくされる方がもっと嫌だ。それに、中田が言ったんでしょ、本当は普通に話したいって!」
「……そうだけど。」
「ならいいじゃんか。せっかく仲良くなれたと思ったのに、急に冷たくされるこっちの身にもなってほしいわ。中田が怒ってると思って本気で怖かったんだからな。」
「悪かったよ。もう普通にする。遠慮しない。」
「ぜひそうしてくれたまえ。っと、あたし部活の途中だったんだったぁ!行かな!」
「調理部、今日は部活あるのな。」
「そうなのよ。珍しくね。」
「何作ってんの?」
「今日はだし巻き卵の研究してんの。最もおいしい出汁は何かってね!」
「面白そうなことしてんのな。俺も食いたい。」
「今度作ってあげるよ。というか、中田も部活じゃないの?
…関係ないかもしれないけど教えてくれたっていいじゃない。」
「さっきのは本当にごめんって。関係は大有りなんだけど、言うと俺が情けないのがばれると思って言えなかっただけだ。」
「は?そうなの?」
「そうだよ。お前に避けられてへこんでたのと、土井になんか言われるのが嫌だったから行かないで帰ろうと思ってた。」
「…そんな理由で部活休んだらダメだろうが。あたしパン土井に渡しちゃったから部活に行ってもらわないと困るんですけど。」
「やっぱり土井に渡したんだな!俺のなのに!」
「なっ…中田があたしと話したくないのかと思って、土井に渡してもらおうと思って預けてきただけだよ!
いらないって言われたけどお金もらっちゃったし、仲直りのきっかけになればいいなって思って健気に買ってきたあたしの努力!勇気!」
「なんだそうだったのか。じゃあ部活行ってこよう。」
「なんだこいつ、単純かよ!」
なにが楽しいのか、あははと大声で笑う小林の瞳にまた光がキラキラと輝いていた。
それをみて、安心したと同時に、心臓の奥をきゅっと何かにつかまれた。
さっきまでの刺すような痛みとは違う。
じんわりと温かくて、むずがゆくて、自然と顔が緩むような感覚。
「何笑ってんのさ。」
「わかんねぇけど、なんか嬉しくて。」
「なんだそれ。」