キラキラしている人がいる
お互いに部活に行こうということで、教室から出た。
小林は調理室のある4階へ。
俺は校庭へ。
分かれ道で「また明日。」と声を掛け合った。
また心臓の奥をつかまれた。
部活へ向かうと、顧問が心配そうな顔でこちらを見てきた。
そういえば、具合が悪いと勘違いされていたような気がする。
「もう治ったんで。」
そう一言いえば、だれも何も言わず部活が再開する。
別に小林との関係が元に戻ったところで、それ以外の関係まで変化させる必要はない。
「あれ、復活したの?」
にやにやしながら土井が近づいて来た。
「ということは、小林と仲直りできたのか。」
「まぁ。」
「よかったねぇ。小林もお前のこと気にしてたみたいだし。もうあんな冷たいこと言ったらダメだぞー。」
「言わねぇよ。あと、お前、パン。」
「はー、それが中継役になってあげようとしていた友人への言葉かね。
別にお前に渡さないで食っちまってもよかったんだからな!」
「…食ってねぇだろうな。」
「食ってねぇよ馬鹿!」
部活の後に渡されたパンの袋の中には、メロンパンとルーズリーフ。
『限定パンはキュウリパンだったのでやめておきました。(パンに生きゅうりが挟まってるだけ!それぞれで食べた方がおいしい!)110円をもらった分なので、気にせず食べてね。私のおすすめ、チョコバナナメロンパンです。
あと、なんか気に障ることしてしまったならごめんなさい。ばかだから言われないとわからないので、教えてください。もし許してくれるのなら、もう一度中田と、普通にお話ししたいです。小林』
丁寧な読みやすい字で書かれた手紙には、さっき俺が言ったことと同じことが書かれていた。
また心臓を掴まれた。
「何々、限定パンは…」
「何勝手に読んでんだよこの馬鹿!死ね!」
「え、ひどいー。思った以上にひどいー。パン食っちまうぞ!」
「ダメだ馬鹿!これは俺んだ!」
「必死かよ。でもお前、そっちの方が面白くていいわ。」
爽やかに笑う土井にイラッとしたから一発蹴りを入れておいた。