キラキラしている人がいる
「中田、おはよう。」
「はよ。」
朝、普通に小林とあいさつを交わした。
それを見た周りのクラスメイトがざわついた。
コソコソと聞こえるか聞こえないか微妙な大きさでささやかれるそれにうんざりする。
やっぱり駄目じゃねぇか。
「中田、昨日部活怒られなかった?」
「…おい、やっぱり、」
「あ、今またヘタレが顔をだしたな!大丈夫だって。」
キラキラ、キラキラ。
どこからその自信がくるのか。
「部活、大丈夫だった?」
「まぁ、体調悪いってことにされてたから。」
「あーサボりじゃないですか。悪い奴だなー。」
「お前が原因だろうが。」
「違いますー。もとはと言えば中田が悪いんですー。」
俺と小林のやり取りに、クラスの目が遠慮することなくこちらに向けられた。
もう少し隠そうとしろよ。
「小林、中田と仲直りできたんだな。」
「よかったー。昨日の二人のしょんぼり具合と言ったらもう…」
「若葉めっちゃため息ついてたもんね。」
「中田の捨てられた子犬感も半端なかったよな。」
「イケメンのしょんぼり顔とかご馳走様でーすって感じ。」
「無事にくっついたみたいでよかったよかった。」
「えーもう付き合ってんのかなー?」
「カップル誕生かー。めでたいねー。」
…もう少し隠そうとしろよ。
つうかまだ付き合ってないし。
「だから大丈夫って言ったのに。中田は今までツンツンしてたからわかんないかもしれないけどね、このクラス良い奴ばっかりよ?」
「そうみたいだな。」
なんだか嬉しくなって顔が緩んだ。それを見てざわつく周りのクラスメイトと、頭を抱える小林。
「どうした?」
「いや、…うん。中田の笑顔には破壊力があるね。」
「…俺はお前の笑顔の方が好きだけど。」
「…それはどうもありがとう。」
「…?どういたしまして。」
なんでそんな死にそうな顔してんだ。