キラキラしている人がいる
折角仲直りしたのだから一緒にパン屋に行ってこいと土井に言われ、昼休みになるとすぐ駐輪場へ向かった。
「おっと、危な……!!」
がしゃんと一つ。嫌な音がした。
「ま、待って、ダメだ!お願い、止まって!!」
自転車が一台。音を立てて倒れた。
それを合図に、次々とがしゃがしゃと耳障りな音を立てる自転車を止めることはもう誰にもできない。
しばらく騒音が続いて、ついに一番端にとめてあった最後の一台が倒れた。
「……まじかよ。」
「えへへ …やっちまいました。」
「俺は先に行くからな。」
「え、ちょっと待ってくださいよー。
この間はさ、ほら、なんやかんや言いながらも心優しい中田様はさ、手伝ってくれたじゃん?ね?」
「うるせぇ。あんな無駄な労働もうしてたまるか。」
「無駄じゃないよ。えっとー、…ほら、筋肉つくよ!」
「馬鹿。勝手にしろ。」
「やだ!見捨てないで!」
どうも俺はこの顔に弱いらしい。
「はぁ…限定パンとお前のおすすめのパンな。」
「わお!中田氏ったら食いしん坊!」
「…さよなら。」
「ごめんなさいいいいいい!」
「必死すぎだろ。」
「だって中田が行っちゃったらあたし一人でこれ直すんでしょ。
それは無理だ。放置だ。」
「…手伝ってやるからさっさと行くぞ。…つうか俺のも一緒に倒れてっから救出しないと出れねぇ。」
「え、マジで手伝ってくれんの?!やったぜ!」
「次やったらもう知らねぇからな。」
「…それは、フラグかな?」
「…不吉なこと言ってないでさっさと直せ。」
「うぃっすー」