キラキラしている人がいる


あまりに馬鹿だったのでそのまま置いて教室に戻ろうとすると、思いっきり腕を掴まれて大きな目を潤ませて「見捨てないでください」とお願いされてしまったため、仕方なくその場に残る。





俺なんかに助けを求めるのもどうかと思うが。


冷徹、鬼、悪魔と言ったのはこいつなのに、そんな人間に普通助けを求めるか?




「中田くんがこんなにいい人だなんて。今日は槍が降るのかもしれないな。」



「残りは一人で全部やれよ。俺は戻る。」


「ごめんなさい無駄話しないので置いていかないで。」




そこから自転車を助け起こす作業に没頭する。


よくもまぁこれだけの台数倒したもんだ。




「なんで中田くんはこんな時間にここにいたの?」


「あぁ?口動かしてる余裕があるのか?」


「ごめんなさい。」





無駄話しないといって3分とたたずに話し始める小林に飽きれる。


学習能力がないのかこいつは。





「中田くんは鬼じゃなかったんだなぁ。新たな発見。」




ぽつりとこぼされた一言には返事を返してやらなかった。



俺だって鬼だなんて呼ばれたくねぇよ。


周りが勝手にそう呼んでるだけだ。




< 5 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop