キラキラしている人がいる
あまりに馬鹿だったのでそのまま置いて教室に戻ろうとすると、思いっきり腕を掴まれて大きな目を潤ませて「見捨てないでください」とお願いされてしまったため、仕方なくその場に残る。
俺なんかに助けを求めるのもどうかと思うが。
冷徹、鬼、悪魔と言ったのはこいつなのに、そんな人間に普通助けを求めるか?
「中田くんがこんなにいい人だなんて。今日は槍が降るのかもしれないな。」
「残りは一人で全部やれよ。俺は戻る。」
「ごめんなさい無駄話しないので置いていかないで。」
そこから自転車を助け起こす作業に没頭する。
よくもまぁこれだけの台数倒したもんだ。
「なんで中田くんはこんな時間にここにいたの?」
「あぁ?口動かしてる余裕があるのか?」
「ごめんなさい。」
無駄話しないといって3分とたたずに話し始める小林に飽きれる。
学習能力がないのかこいつは。
「中田くんは鬼じゃなかったんだなぁ。新たな発見。」
ぽつりとこぼされた一言には返事を返してやらなかった。
俺だって鬼だなんて呼ばれたくねぇよ。
周りが勝手にそう呼んでるだけだ。