キラキラしている人がいる
数分後、きれいにドミノ倒しされていた自転車たちが元の位置へと戻った。
「終わったー!よかったー!疲れたー!」
両手を挙げて大げさに喜ぶ小林にため息。
「誰のせいでこんな無駄な時間過ごしたと思ってんだよ馬鹿。」
「あたしですね。ごめんなさい!でも、本当にありがとう!中田くんがいなかったらどうなっていたことか!」
こいつは目に光でも灯しているのかと聞きたくなるくらいに眩しい瞳を向けられる。
“嬉しい”を言葉ではなく態度で押し付けてくる小林に、また一つため息がでた。
俺にこんな態度取ってくる奴、この学校中どこ探してもいないだろう。
「中田くん?」
「お前のせいで昼休みが台無しだ。」
「それに関しては本当にごめん。
でも、あたしは無駄な時間とは思わなかったよ!」
「は?何が?」
「だって中田くんの新たな一面を知れたからね。
中田くんは冷たい鬼じゃなかった。」
こんな一度親切にされたくらいで、相手の評価を覆すのはどうかと思う。
今まで散々冷酷だとか、鬼だとか言っていたくせに。
「中田くん、ありがとう。」
俺の目を見てそう言った小林は、なぜだかとても嬉しそうで、また瞳を眩しく輝かせていた。
キラキラ、キラキラ。
その瞳に、心臓が大きく音をたてた。
「…どういたしまして。」