キラキラしている人がいる
「そういえば、中田くんとちゃんと話すのって初めてかもしれないね。」
教室での俺は、他人に干渉しないし干渉されたくもないから極力人と会話をしない。
中学の時に一度人間関係で失敗してからは他人との関わりを避けるようにしてきた。
「あれ、中田くんあたしの名前知ってる?
というか同じクラスっていうのは分かってる?よね?
もしかして知られてないとか…」
「小林若葉。流石にわかる。」
「ですよねー。よかった。あ、もちろんあたしも知ってますからね!中田竜成くん。」
得意気に俺の名前を言ってのけた小林。
2年になる時にクラス替えがあって、それから2か月が過ぎた今。
流石にクラスメイトの顔と名前くらいは覚えていて当然だと思う一方で、自分の名前が憶えられていてよかったと安堵している自分もいる。
「中田くん、これからよろしくね。」
「普通に中田でいいから。変な感じするから君づけとかマジでやめろ。」
「えー、呼び捨てにしたとたん怒ったりしない?」
「するわけねぇだろ。」
「じゃあ一匹ヤンキー中田。」
「…次その呼び方したらぶっ飛ばすぞ。」
「ほら怒ったじゃん!」
「一匹ヤンキーってなんなんだよ…」
「だって、いつも一人でいたしさ、金髪ピアスで無口でしょ。
仲間がいるわけではなさそうだったから一匹ヤンキー。」
「別に、ヤンキーな訳ではねぇよ。他にも髪そめてるやついるだろうが。
ファッションだファッション。」
「ファッションヤンキー?」
「ちげぇよ馬鹿。なめてんのか。」
「やっぱほんまもんヤンキーじゃん!
中田は顔が怖い!威圧感がある!」
「お前、よく本人に正面切って言えるな…」
「なんか今なら言っても許される気がした!」
けらけらと楽しそうに笑う小林に呆れてため息をつく。
なんかこいつと話してると力抜ける。
「…そうかよ。もうなんでもいいわ。教室では話しかけんなよ。」
「えぇ!今友情が生まれたところじゃなかったの?!」
生まれてねぇよそんなもん。