冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
婚約者からの告白
レイ・アークライト次期公爵が広間に入ると、それまでおしゃべりに興じていた令嬢達の視線が集中した。
隣に寄り添っている私の事など見えていないかのような、あからさまな異性への好意の視線だ。
こんな風に注目される事は何時もの事だからレイも私もいちいち気に留めない。二人揃って真っ直ぐに目的の人物がいる広間の奥へと進んで行った。
夜会の主催者であるエルガー公爵に挨拶を済ませると、私はようやく肩の力を抜いてほっと息を吐いた。
何度経験しても上級貴族への挨拶は緊張する。
今夜の夜会の主催者は、国内でも五指に入る名門貴族のエルガー公爵。本来なら下級貴族の娘にすぎない私が、直接挨拶出来るような相手ではない。
そもそもこの夜会自体が私には場違いだ。エルガー公爵の夜会は格式高く、招待客も高貴な身分の人達ばかりだから。
それなのになぜ私がこの場にいるのかと言えば、三カ月前に、最上級の貴族レイ・アークライトの婚約者の立場となったからだった。
アークライト公爵家は、十代以上系譜を遡る事が出来る、由緒正しい名門貴族だ。
海に面した広大な領地は気候に恵まれとても豊かだし、大きな港からは他国との交易を行い、多大な収益を上げている。
その身分と財力から貴族社会でとても強い影響力を持つ一族だ。
そしてレイ自身もその家名に相応しい能力を持った将来有望な貴公子で、王太子に次ぐ¨社交界の結婚したい男性第二位”として令嬢達の憧れの的共なっている。
隣に寄り添っている私の事など見えていないかのような、あからさまな異性への好意の視線だ。
こんな風に注目される事は何時もの事だからレイも私もいちいち気に留めない。二人揃って真っ直ぐに目的の人物がいる広間の奥へと進んで行った。
夜会の主催者であるエルガー公爵に挨拶を済ませると、私はようやく肩の力を抜いてほっと息を吐いた。
何度経験しても上級貴族への挨拶は緊張する。
今夜の夜会の主催者は、国内でも五指に入る名門貴族のエルガー公爵。本来なら下級貴族の娘にすぎない私が、直接挨拶出来るような相手ではない。
そもそもこの夜会自体が私には場違いだ。エルガー公爵の夜会は格式高く、招待客も高貴な身分の人達ばかりだから。
それなのになぜ私がこの場にいるのかと言えば、三カ月前に、最上級の貴族レイ・アークライトの婚約者の立場となったからだった。
アークライト公爵家は、十代以上系譜を遡る事が出来る、由緒正しい名門貴族だ。
海に面した広大な領地は気候に恵まれとても豊かだし、大きな港からは他国との交易を行い、多大な収益を上げている。
その身分と財力から貴族社会でとても強い影響力を持つ一族だ。
そしてレイ自身もその家名に相応しい能力を持った将来有望な貴公子で、王太子に次ぐ¨社交界の結婚したい男性第二位”として令嬢達の憧れの的共なっている。
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