冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
今後同じような事で気まずくならない為に、何がレイを不快にさせたのかを知っておきたい。
原因が分かれば回避できるはずだ。
「ねえレイ、私が怒らせてしまったの? だとしたら理由を教えて? 私が悪いのならきちんと謝るから」
穏やかさを心がけて言うとレイは重い溜息を吐き、それからどこか恨みがましい視線を送って来た。
「ローナが無神経な事ばかり言うからだろ?」
「無神経って……私が?」
私は驚き目を瞠った。
何のことか全く思い当たらなかった。
気を遣うエルガー公爵家の夜会中、充分言動に気を付けていたつもりだったから。
「……ごめんなさい。そう言われても自分の失言を思い出せない。レイが無神経に感じた発言を教えてくれる? これから気をつけたいと思うから」
レイは未だ不機嫌そうに眉をひそめながら答えた。
「ローナは俺の婚約者だろう?」
「そうだけど」
そんな事を、どうして今更わざわざ再確認するのだろう。
「婚約者の前で他の男を褒めるなんて無神経だと思わないのか?」
「えっ?」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
けれど直ぐに“他の男”が王太子サイラス殿下の事だと気付き、今度は私が呆れながら言った。
「王太子殿下への賛辞の言葉よ? 国民として当たり前じゃない」
「王太子だって男だ」
「そうだけど、でも……」
理不尽な事で責められている気がする。それに、
「私が他の男性を褒めたくらいでそんなに怒る事ないじゃない」
もし私が不貞を働いたとなれば夫としての名誉を傷つけられたとレイが怒るのも当然だけれど、王族を純粋な気持ちで褒め称えた事で機嫌を悪くするなんて変だ。
これではまるで本当の恋人同士に起きる、嫉妬の感情による痴話喧嘩みたいではないか。
原因が分かれば回避できるはずだ。
「ねえレイ、私が怒らせてしまったの? だとしたら理由を教えて? 私が悪いのならきちんと謝るから」
穏やかさを心がけて言うとレイは重い溜息を吐き、それからどこか恨みがましい視線を送って来た。
「ローナが無神経な事ばかり言うからだろ?」
「無神経って……私が?」
私は驚き目を瞠った。
何のことか全く思い当たらなかった。
気を遣うエルガー公爵家の夜会中、充分言動に気を付けていたつもりだったから。
「……ごめんなさい。そう言われても自分の失言を思い出せない。レイが無神経に感じた発言を教えてくれる? これから気をつけたいと思うから」
レイは未だ不機嫌そうに眉をひそめながら答えた。
「ローナは俺の婚約者だろう?」
「そうだけど」
そんな事を、どうして今更わざわざ再確認するのだろう。
「婚約者の前で他の男を褒めるなんて無神経だと思わないのか?」
「えっ?」
一瞬何を言っているのか分からなかった。
けれど直ぐに“他の男”が王太子サイラス殿下の事だと気付き、今度は私が呆れながら言った。
「王太子殿下への賛辞の言葉よ? 国民として当たり前じゃない」
「王太子だって男だ」
「そうだけど、でも……」
理不尽な事で責められている気がする。それに、
「私が他の男性を褒めたくらいでそんなに怒る事ないじゃない」
もし私が不貞を働いたとなれば夫としての名誉を傷つけられたとレイが怒るのも当然だけれど、王族を純粋な気持ちで褒め称えた事で機嫌を悪くするなんて変だ。
これではまるで本当の恋人同士に起きる、嫉妬の感情による痴話喧嘩みたいではないか。