冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
私がその事を指摘するより早く、レイが距離を詰めて来た。
「ローナは俺の妻になるんだから他の男の事なんて見るのも考えるのも駄目だし、褒めるなんて問題外だ。相手が誰であれ不快でしかない」
アークライト家の馬車は名門貴族らしく立派なものだ。座席も広く二人で並んで座っても充分な余裕がある。
それなのに今二人の距離は殆ど隙間がない程近付いている。
今までにない距離感と、強い口調で言われた事で私が酷く戸惑っている内に、レイが更に続けて言った。
「今までは好きにさせてローナ自ら改心するのを待っていたけど、はっきり言わないとローナは気付かないんだと分かったから言う事にする。いいか、今後は夜会に出たら俺の側から離れるな、常に隣にいろ」
「え……あの……」
「今夜だって何人もの男と話していたな。今回までは許すけど次は無いからな。軽々しく他の男と口をきくな」
ただの挨拶も駄目なの?
豹変してしまったとしか思えないレイの台詞に、唖然としていると、レイは私の腕を何の躊躇もなくグイと掴んで来た。
「いいな?」
極上の美形のレイが凄むと迫力がある。
その強い視線に囚われてしまい身動き出きなくなりそうになる。
それでもなんとか自分を取り戻しレイの手を振り払った。
「な、なんで突然そんな事言うの? 結婚で束縛されるのは嫌だって言ってたじゃない! だから煩く束縛も干渉もしなそうな私を婚約者にしたんでしょう?」
それなのになぜ急に本当の恋人のような事を言うのだ。
私の言葉にレイは眉をひそめる。
「俺は束縛しないとは一言も言ってないが」
「え……」
「ローナは俺の妻になるんだから他の男の事なんて見るのも考えるのも駄目だし、褒めるなんて問題外だ。相手が誰であれ不快でしかない」
アークライト家の馬車は名門貴族らしく立派なものだ。座席も広く二人で並んで座っても充分な余裕がある。
それなのに今二人の距離は殆ど隙間がない程近付いている。
今までにない距離感と、強い口調で言われた事で私が酷く戸惑っている内に、レイが更に続けて言った。
「今までは好きにさせてローナ自ら改心するのを待っていたけど、はっきり言わないとローナは気付かないんだと分かったから言う事にする。いいか、今後は夜会に出たら俺の側から離れるな、常に隣にいろ」
「え……あの……」
「今夜だって何人もの男と話していたな。今回までは許すけど次は無いからな。軽々しく他の男と口をきくな」
ただの挨拶も駄目なの?
豹変してしまったとしか思えないレイの台詞に、唖然としていると、レイは私の腕を何の躊躇もなくグイと掴んで来た。
「いいな?」
極上の美形のレイが凄むと迫力がある。
その強い視線に囚われてしまい身動き出きなくなりそうになる。
それでもなんとか自分を取り戻しレイの手を振り払った。
「な、なんで突然そんな事言うの? 結婚で束縛されるのは嫌だって言ってたじゃない! だから煩く束縛も干渉もしなそうな私を婚約者にしたんでしょう?」
それなのになぜ急に本当の恋人のような事を言うのだ。
私の言葉にレイは眉をひそめる。
「俺は束縛しないとは一言も言ってないが」
「え……」