冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
つい漏れてしまった本音にエレインが怪訝そうな顔をした。
エレインは婚約の経緯を知らないのだ。はっとして取り繕う。
「あ……そうなんだけど、でも私ではレイに釣り合わないんじゃないかといつも思うの。アークライト家とルウェリン家では家格が違い過ぎるし、レイ自身も宰相補佐の地位に就いていて社交界の令嬢達の憧れの的だもの」
エレインは、ああと納得した様に頷きながらも不満そうに言った。
「確かにレイは人気があるわ。でもローナが卑屈になる必要はないわよ。“社交界結婚したい男性第二位”の男性に選ばれたんだからもっと自信を持つべきだわ」
「それはかなり難しいわ」
自分自身を客観的に見ると自信満々になどなれない。
エレインのように華やかな美しさがあればもっと自分に自信を持てるのかもしれないけど。
私の返事を聞いたエレインは何かを考えるようにじっと自分の紅茶のカップを見つめている。
しばらくすると顔を上げてニコリとした。
「婚約して三ヶ月も経つのに、ローナがレイの気持ちを完全に信用出来ないのはレイの愛情表現が足りないからだわ。私、もっとローナに愛を伝えるようにレイに進言してみるわ」
「ひ、必要ないから!」
エレインのとんでもない発言に、私は思わず高い声を出す。
今だってかなり戸惑っているのだ。これ以上積極的に来られても、私もルウェリン家もついていけない。
レイの愛情表現は既に過剰なくらいだ。
それなのに私がなぜ素直にレイの言葉を信じられないのかと言えば、エレインに言った通り自信が無い事と、婚約を打診されたときに言われた言葉が気にかかっているからだ。
『束縛も干渉もごめんだ』
レイは今もその考えを変えてないのだろうか。
私を束縛し干渉するのに、その逆は許さないつもりなのか。
そんな状況では、私は心を開く事が出来ない。
突き放そうとする相手を好きになっても辛くなるだけだ。
それが分かっているから、どうしても心に予防線を張ってしまう。
でももしレイがあの時の言葉は間違っていたと言ってくれたら。撤回すると言ってくれたら。
レイの言葉を素直に信じて、本当の婚約者として歩み寄れる気がする。
エレインは婚約の経緯を知らないのだ。はっとして取り繕う。
「あ……そうなんだけど、でも私ではレイに釣り合わないんじゃないかといつも思うの。アークライト家とルウェリン家では家格が違い過ぎるし、レイ自身も宰相補佐の地位に就いていて社交界の令嬢達の憧れの的だもの」
エレインは、ああと納得した様に頷きながらも不満そうに言った。
「確かにレイは人気があるわ。でもローナが卑屈になる必要はないわよ。“社交界結婚したい男性第二位”の男性に選ばれたんだからもっと自信を持つべきだわ」
「それはかなり難しいわ」
自分自身を客観的に見ると自信満々になどなれない。
エレインのように華やかな美しさがあればもっと自分に自信を持てるのかもしれないけど。
私の返事を聞いたエレインは何かを考えるようにじっと自分の紅茶のカップを見つめている。
しばらくすると顔を上げてニコリとした。
「婚約して三ヶ月も経つのに、ローナがレイの気持ちを完全に信用出来ないのはレイの愛情表現が足りないからだわ。私、もっとローナに愛を伝えるようにレイに進言してみるわ」
「ひ、必要ないから!」
エレインのとんでもない発言に、私は思わず高い声を出す。
今だってかなり戸惑っているのだ。これ以上積極的に来られても、私もルウェリン家もついていけない。
レイの愛情表現は既に過剰なくらいだ。
それなのに私がなぜ素直にレイの言葉を信じられないのかと言えば、エレインに言った通り自信が無い事と、婚約を打診されたときに言われた言葉が気にかかっているからだ。
『束縛も干渉もごめんだ』
レイは今もその考えを変えてないのだろうか。
私を束縛し干渉するのに、その逆は許さないつもりなのか。
そんな状況では、私は心を開く事が出来ない。
突き放そうとする相手を好きになっても辛くなるだけだ。
それが分かっているから、どうしても心に予防線を張ってしまう。
でももしレイがあの時の言葉は間違っていたと言ってくれたら。撤回すると言ってくれたら。
レイの言葉を素直に信じて、本当の婚約者として歩み寄れる気がする。