冷酷な公爵は無垢な令嬢を愛おしむ
「どうすれは信用出来る? 何が望みだ?」

 真摯に訴えられ、私は少し躊躇いながらも良い機会だと思い、日中考えていた事を口にした。

「レイが私と信頼し合う本当の夫婦になる事を望んでくれているなら、物を贈るより、私に対して誠実で居て欲しい」

「俺は今でもローナに対して誠実でいるつもりだ。ローナは俺を疑っているのか?」

 レイは心外だと言うように顔を顰める。

「疑っている訳じゃないけど私達婚約した経緯が普通じゃないでしょ?」
「普通だろ?」

 怪訝な顔をするレイに、私は首を横に振ってみせた。

「普通じゃないわ。レイはプロポーズの時、俺に干渉も束縛もするなって言ったのよ? それで普通の結婚と言える?」
「え……」

 いつもは引き締まった薄い唇をポカンと開くレイに、私は続けて言う。

「私は妻になってもレイが何を考えているのか、何をしているのか聞く事が許されない。割り切った結婚だと思ったからそれを納得出来たの。でもレイに心を開いて好きになってしまったらそんな関係は私には耐えられない。だから私はレイに対して一歩引いて接してしまうんだと思う」

 この気持ちは伝えて良いものか悩んだけど、口にしたら予想以上に気が楽になった。

 レイはどう感じているんだろう。
 さっきから視線をさまよわせている様子は、とても困惑している様子に思えるけど。
 
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